杏子とOLの出席簿

20代女子ふたりの背伸びをしない交換日記。

猫と私とあの人と 【OL 出席】

byちやほやされたいOL

 

両想いの人と
片想いの人はどっちが多いんだろう

 

揺れる各駅停車の中で何故そんなことを思いついたのかわからないが

中途半端な眠気と体のだるさと押し上げてくる空腹が

そうさせたのかもしれない。

あるいは2月のさみしさが体と心を駆け巡って

小難しいことを考える気分になったのやもわからない

 

 

冷たい風の吹く街の中をくっついて歩くカップルは実は少数派で
色のない景色の中を1人で歩く人の方が多いのが現実かもしれない
みんなそれぞれ好きな人がいるのに
想いのベクトルが結びつくことはなかなか無い

 

 

この世界の多くが
寂しくて温かい片想いを抱えていると考えると、街ゆく人たちが愛おしく思えてくる

 

友達の枠から抜け出せない恋もあれば

毎朝カフェで隣の席に座るだけの恋もあるだろうし

毎日会えるのに絶対に言えない恋も

既に誰かのものの恋も

一生誰にも言えない恋もあるかもしれない

 

 

 

 

「この世界の誰もが、叶わぬ恋の犠牲者」

とは映画ホリデイのセリフから引用だが

 

その通り、片想いをしたことがない人はこの世界にいないと思う

(いたら相当のモテか、人を好きになることがないか)

そのような人がいるなら、私はかえって気の毒に思うのだ。

 

伝えたいのに伝わらなくて

心の中でどれだけ好きだと叫んでも、届かないのだと気づかされる

あの感覚に傷つけられ

泣き

もう二度とこんな気持ちになりたくないと決意しながら

また性懲りもなく恋をしてしまう

愛おしい生き物のことを

 

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欺く言う私も

叶わぬ恋の犠牲者だった

 

一頻りの感情を経験した

相手も同じ気持ちでありますようにと願った

してもらうよりも与えたいと思った

でも

なにを言ってもなにをしてもダメなのだと悟った

 

だから、終わりにした。

傍にいられればそれでいいだなんて

もう言えない季節になっていた

 



 

猫の話

好きな人は神様に猫にされてしまえばいい

と、思った。

 

 

猫にされてどこに行けばいいかわからなくて

私のところにくればいい




 

 

本来私は犬派なのだが

どうしてか猫の方がしっくりくる

あの人が、ねこっ毛で、じろりと人を見る目を持っていたからだろうか

警戒心が強いくせに

懐くと安心しきって甘えてくる姿が似ているからか

 

 

仕事終わりの帰り道で突然猫に出会ったら

私はその子を連れて帰るだろう

ペット不可の物件だけど招き入れるだろう

 

お風呂にいれて

毛並みを整えて

温かいミルクを平皿に入れて与えよう

 

人と人が住むのには理由がいるが

猫とならば必要ない

 

一緒にいるのが当たり前になって

いくつもの季節を過ごし


 

温度のあるその子を抱えて

柔らかい毛に涙を落とす日もあるかもしれない

そんな時はざらついた舌で肌を舐めてくれるのだろうか

 




もしも猫にされてしまったら

私のところに来ていいよ

 

なんて

意味がわからなくて眉をひそめるかもしれないけど

 




世界中の片想いたちの幸せを願い

残り少ない冬に身をゆだねつつ

 

 

私は揺れる電車の中でまどろみながらあの人を想うのだろう

猫にされるのはかわいそうだから、やっぱなし

なんて考えながら