元カレにラインブロックされています【OL 残暑】
by ちやほやされたいOL
元彼にラインをブロックされている。
3年半に及ぶ交際は
喧嘩でもなく
一緒にいる理由がわからなくなった。
というふわっとした理由で終わりを迎えた
別れたかったわけではない
嫌いになったわけではない
でも、離れることになった。
自分でもひくほど落ち込んで
仕事帰りの道は毎日泣いていた。
なぜ悲しいのかもわからないくらいに泣いた。
あんなに大切だった人を、どうして自ら手放したりしたのだろう。
もっと相手を大切にすれば良かった。
メールなりラインなり、連絡を取ることもやろうと思えばできたが
それはずるい気がして
気持ちが鎮まるのをひたすら待った。
別れてから半年。
泣き疲れ、やっとひとつの決心をした夏、彼と会う機会があった
久しぶりに会う彼はすこしおしゃれになっていて、
動揺せずに、楽しい時間を過ごすことができたと思う。
かつて想いを寄せ合ったからこそ成立する信頼関係があるのだ。
彼の彼女ではいられなくなった私が死ぬほど泣いて見つけた、
楽しく過ごせた1日の終わりに
彼は「
いとも簡単に、私が泣き続けた半年間を知ろうともせず
ヨリを戻すことを提案した。
私はどうしてか力が抜けて怒りにも悲しみにも似た感情が浮かんだ。
私は彼の提案を受け入れられなかった。
私が半年涙に暮れて決めた友人になる決断を
彼が半年振りに会ってふと思いついたヨリを戻したいという衝動で
相殺
もしヨリを戻したとして、熱量のバランスは取れるだろうか。
ヨリを戻すことはできないと告げると、
俯いてしばしの沈黙あとに彼は言う
「そうか。僕は弱いから、君に連絡を取ってしまうかもしれない。
その日の夜から、
私と彼は、友人でもなくなった。
あれから1年。
日曜日の昼、上野の鈴元演芸場に寄席を見に行った。
君がくれた、私の数少ない趣味のひとつ。
客席に、もしかしたら君がいるかもしれないと思ったけど、
もし君がいたら、
恋愛以外のなにかでも繋がっていけるだろうと思っていた。
あれほど迷いなく人を信頼できることはもうないだろうし
そこまでの信頼関係を築いて行く自信がない。
帰りの山手線に揺られながら、君にメッセージを打った
「昼の部、とても良かったよ。君にも見せてあげたかった」
しつこいようだが私は、元彼にラインをブロックされている。
君がこのメッセージを読むことは永遠にない。
だから、安心して本当のことを言うことができるんだ。
「君といる時間だけが、本当の自分でいられた気がするよ」
同じ時間の流れの中で、君も私も同じ東京を見ている。
それだけでもう充分だよと、