杏子とOLの出席簿

20代女子ふたりの背伸びをしない交換日記。

さよならはいつも隣にいた【OL 出席】

byちやほやされたいOL

 

 

 

 

かつて付き合っていた彼氏に

「君は全くツーショットを撮りたがらないね

女の子はそういうのを撮りたいものじゃないの?」

 

 

と問われたことがある

 

飲みかけのアイスティーのグラスに水滴が流れていた。

私はそれを指先で撫でながら真顔で

「別れたあと処理に困るじゃん」

と言った。

 

言い放たれた言葉を聞いて、彼はどんな表情をしていたのだろうか。

 

 

非情な女だと思っただろう。

「今付き合っているのに何故別れたあとの話をするのか」

「最初から別れる前提で付き合っているのか」

「むしろ俺と別れたいと思っているのか」

と叱られても当然の発言だが、彼はそんな無粋な怒りをぶつけては来なかった

 

おかげで3年以上の時間を過ごした彼と撮った写真は

旅行先でカップルの写真を撮ってあげた際に「お二人のシャッターも押しますよ」と言われて断れずに撮った慣れない笑顔を浮かべた写真1枚だけだ。

 

彼のことは好き。

彼も私を好き。

でも、いつかそのベクトルはバランスが取れなくなって

別れるときはくる。

 

私はきっと楽しい思い出を詰め込んだツーショットを

1人で見る日が来るが怖いのだ。

 

 

臆病だから。

それほどに傷付いてしまうだろうから。

 

思えばいつも別れることを考えながら

付き合っている。

 

いつフラれてもいいようにできるだけの心の準備はしておく

なんなら告白されて真っ先に考えるのは

「この人は恋人とどんな別れ方をするだろう」だ。

粘着質で別れる行為に時間を要しそうな人とは、そもそも付き合わない。

どれだけ綺麗な別れかたをしてくれるか、は私が交際を検討する上で結構需要な項目である。

 

いつか別れる。

永遠なんてものはない。

終わる。

 

残念ながら、

撮った写真はさよならしたら「削除」してしまえばいい

捨ててしまえばいい

なんて、私の思考は都合よくできていない。

 

そしてもしも一緒に撮った写真が相手の手元にも残ったとしたら

私は耐えられないのだ。

私が軽率に撮った写真が相手の未来を邪魔するのではないかと

相手がなにかのはずみでその写真を見つけてしまった時に

相手の心を乱してしまうのではないかと気が気でない。

 

できれば別れた瞬間に

私に関する記憶はすべて失ってほしい。

 

新しく出会う誰かの為に

私のことは忘れてほしい。

 

今が1番幸せだと思って生きていってほしい。

この人と出会う為に、今までの恋は全部駄目になったのだと思える人に出会ってほしい

 

だから、私と相手を繋げる物的証拠はできるだけ残しておきたくないのだ。

撮った写真はいつか撮らなければ良かったと思う日がくる。

私がじゃなくて、相手が。

好きだった人にそんな風に、思われたくない。

 

同じ要領で

私は彼氏とペアリングとか、お揃いのものも持ったことがない。

 

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いつか考え方は変わるだろうか。

さよならを用意せずに恋愛をできる日が。