戻れない季節に溺れて【OL 長期休み】
byちやほやされたいOL
平成が終わってしまった
浮き足立つテレビ放送や街の様子を横目に見て
興味なさそうな振る舞いをしていたら
呆気なく我々の前から去ってしまったんだ
まるでまた会えるみたいに
控えめに微笑んで
思えばそばにいたものが去る時はいつもそうだった
この手遅れ感は以前にも見たことがある気がする
大切なものは意外と呆気なく姿を消す。美しい記憶だけを置き去りにして
話を戻そう。
どんな時代だったの?
と言われたら少し困る
私は平成以外のそれを知らないから
達成も挫折も就職も初恋も失恋も
一通りの初体験を平成の中でインスタントに経験してきた
あまりにも順調に生きてしまったのが後ろめたくも思うほどだ
それでもやはり
とても人様には言えない愚かな方法で自身の存在を確かめたり憂鬱を心に留めておけなくて恥ずかしい患いをしてきた
できそこないの足掻きは見苦しい
奇異の目に晒されることもあったが
令和はさらなる絶望と切なさが
私の人生を彩ってくれるだろう
平和ボケした中に球体を落としたように飛び散る悲しみが
私の心を蹴散らして
ときどき現れる小粒の愛と
真実めいた言葉が私を救ってくれるんだ
暗くてネガティブで卑屈な自分が嫌いで
なんとかこじらせないように自分で自分を見張ってきたつもりだけれど
もう仕方ない
これが私だから
去る者を引き留めはしない
ちょっと泣いて終わりにするよ
涙のあとに見えた景色がきっと私の道しるべになる